クアラルンプールのバリアフリー度(2)

KLに来た時、最初の6ヶ月ぐらいは車がなかったのでよく歩き回ってました。電車が使えるので、電車で行って行き先で歩き回るという感じです。

本当は市内の路線バスも活用すればいいんですが、バスはどうも苦手でした。というか、使えなかったんですね。

どこをどう探しても全体のバス路線図が見つからない。路線単体の図は見つかっても、地図上に書かれてないのでいったいどこを走るのか、マイナーな地名を示されても全くわからないし、時刻表もありませんでした。

ある時、多分この辺りに行くだろうと見当をつけ、意を決して路線バスに乗ったことがありますが、でもやはり想定外の方向に行ってしまう。仕方がないから傷が浅いうちに引き返そうと適当な停留所で降りて、反対方向のバスに乗って戻ろうと思ったら、そもそも反対向きの停留所が見つからずに立ち往生。どうやらバス路線がループを描いていて一方向に回るしかない、なんてこともありました。


バスそのものは、電車と共通のICカードが使えて便利だし、
乗っているだけならわりと快適です

というわけで、車がない時期はひたすら歩きました。しかし、この歩くというのがとても大変です。

歩く話の前にKLの交通事情をもう少し書いておきます。

もちろん場所にもよりますが、マレーシアの都市の多くの場所では車優先の設計がされています。車で行くならとても快適(ただし、渋滞がなければという条件付き)、車が無い人はタクシーを使うかバスを使うことになります。


街の中心部の道路の様子
これは歩道橋からの写真。歩道橋がもっとたくさんあればいいんだけれど。

タクシーはGrab(最初はMy Texsiと言っていた)というスマホの配車アプリができてから随分便利になり、私が経験した限りでは10〜15分ぐらいの間に来てくれるし、料金トラブルなどもありません。でも流しのタクシーだと料金交渉やなんやらで嫌な思いをすることが今もあります。いずれにせよそれなりの料金を取られるのがタクシーです。

バスは料金は安いものの、上に述べたとおりマレーシア人でも初めての場所ではとても使えないだろうし、使えたとしても運行時刻もわからないので時間によほどの余裕がある時限定でしょう。使うのは本当に地元の乗り慣れた人に限られるのではないでしょうか。

私が見る限りKLの人が採る選択肢はここまでです。目的地まで歩いて行こうというのはせいぜい500mぐらいまでだと思います。時間にすれば10分も歩けば長い方でしょう。それ以上になれば、時間がかかっても車で行くかタクシーを拾うんじゃないかと思います。

まあ、暑いので仕方がないのかもしれません。夜であれば安全の問題もあるでしょうし。

で、何が言いたいかと言うと、街が歩くことを重視した作りになっていないので、歩きにくいんです。というか気楽に歩けないんです。無理をすると命がけになります。

KLセントラル駅は、国際空港(KLIA)から直通列車一本で来れるまさにマレーシアの玄関口で、ヒルトンやメリディアンなど有名なホテルもあります。そこから道路を挟んで直線距離にしてわずか300mほどの場所に国立博物館(ミュージアムネガラ)が、またその背後には広大な敷地を持つレイクガーデンという気持ちのいい公園が広がっています。

最初に行った時、KLセントラル駅から絶好のロケーションにあるこの博物館に行こうと考えました。この距離なので当然歩いて行く道を探したのですが、結局私には見つけられませんでした。え?そこに見えているのに。300mでしょ。なんで歩いて行けないの?と言う感じ。

正確に言うと道はあったようです。私の友人は歩いて行ったと言っていました。私も2年後に博物館側からその通路を発見しました。でも正直言ってとても国立博物館というメジャーな施設に行く道には見えないし、人も通っておらず、ここを通って観光客が博物館に行くことは想定していない雰囲気。。。あとで知りましたがセントラル駅から博物館にも停まる無料バス(Go KL)が出ていたようで、きっとこれに任せていたんでしょうね。

ちなみに、私が最初に博物館に行こうとした時には、下の写真の道路を突っ切る方法しか見つかりませんでした。もちろん行きませんでしたが。


博物館はこの右手。さらに別の道路を横切る必要があるはず。
さすがにここを突っ切るのはやめました。
車はものすごいスピードだし、行ってもたどり着ける保証もないし。

なお、今はこの状況は解消されました。昨年新しくできたMRTの駅が博物館の横にでき、その駅とKLセントラル駅が地下で繋がり冷房の効いた中を快適に行き来できるようになっています。

こんな風に、マレーシアの人から見るとそもそも暑い中なんで歩いて行かなきゃならないの?という感覚で街が作られているみたいです。なので、KLの道路は上の写真のように車がスムーズに走ることを中心に考えて作られていて、歩行者が歩道を歩いたり道路を横断することに十分配慮した作りにはなっていません。

横断歩道はたまにはあるし、歩行者用の信号も設置されていたりしますが、その信号が消えていたり、稼働していても青信号で道を渡るのに十分な時間が確保されていなくて、途中で走らねばならなかったり。。。ということもしばしばです。

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アダムの選択(亜東 林)

 

手のひらの中の彼女(亜東 林)

 

シライン(亜東 林)

 

LIARS IN SPACE (Rin Ato):シライン英訳版

英訳の経緯はこちら

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