初めて車を運転したのはマレーシアでした

1995年、車の免許を取ってから7年間ペーパードライバーだった私が初めて公道を運転したのはマレーシアでした。職場の前任者から車を譲り受け、初ドライブはオフィスのあるビルから自宅まで。同僚の車に先導してもらってなんとかたどり着いたように記憶しています。

その前の1週間ほどもその同僚の車に乗せてもらって通勤し、会社までの道をひたすら覚えました。そして、通勤デビュー。全くの一人で40分ほどの道のりを会社に向かった時のことはよく覚えています。当時の交通状況も今とさほど違いはなく、車はビュンビュン走るか渋滞するかのどちらかでした。


これに乗っていたわけではない

その最初の出勤では緊張の極限で案の定道を間違え、見知らぬ場所に迷い込みました。会社のビルは遠くに見えているけれど、どうしてもたどり着けません。仕方なく車を停め、当時使われ始めた携帯電話を初めて使って遅刻の連絡をしました。あまりの緊張で吐き気がしたのをよく覚えています。

こんな公道デビューをしてから3年間、月に1,000kmぐらいのペースで車を運転しましたが、苦労したのはやはり道の複雑さです。今もクアラルンプールの道を運転した人はよくわかると思いますが、KLの道は極端に複雑です。道路は不規則に入り乱れ、東西南北に直線道路が交わるようなわかりやすい場所はまずありません。

これに加えて、運転の初心者には特に辛いのが交差点がとても少ないことです。街の中心部を除くと道路が交わるところは立体交差を多用しているので、高速道路のインターチェンジのように一度間違えるととんでもない方向に行くしかなくなってしまいます。ハイスピードで流れている道でレーンチェンジが間に合わず、意図しない道に入ってしまうこともしょっちゅうありました。

そんな時は、路肩に停めると危険なので、次の分岐で幹線を離れてなんとか車を停められる場所を見つけて地図を広げていました。でもこの時使っていた地図は当時出たばかりの最新の道路地図でしたが、とっても大雑把でどっちに行けばいいかなんとなくしかわからず、ないよりはマシ程度のものでした。

そんな時の心強い味方が当時まだオープンしていなかったKLタワー。街をはずれて全く知らない場所に出てしまったとき、KLタワーが見えれば「あそこを目指せば帰れる!」とちょっと安心できました。今でいうとツインタワーみたいなもんですね。


KLタワー
1996年開業だが、建物は1995年にできていた
最初は存在を知らなかったが、知ってからはランドマークとして利用した

それから、ラウンドアバウトも最初は苦労しました。交差点でぐるぐる回りながら目的の道に入って行くというロータリーのことですね。当時は今よりもたくさんのラウンドアバウトがありました。

円になった部分は普通2車線になっていますが、最初はルールがわからず、ずっと外側の車線を走っていたら内側から出てくる車に衝突されそうになることもしばしば。また、内側の車線に入ったまま外に出るタイミングがつかめずに2~3周することもよくありました。

日本と同じ左側通行で右ハンドルのマレーシア。そこだけは助かりましたが、初めて運転するにはタフな国だと思います。特に事故も起こさずに過ごせたのはラッキーだったのかもしれません。

そんなマレーシアですが、4年前に再度KLで車を運転した時は隔世の感でした。カーナビの威力は絶大です。道に迷う心配がないので運転に集中できるようになったと思います。

でもKLの道路事情は20数年前とそんなに変わっていませんね。道路は少し整備されて走ってる車もきれいになり、渋滞もやや減ったように思いますが、道の複雑さはぜんぜん変わっていませんから。



斜めの線を引いてある部分は、住宅地によくあるスピード抑制のためのハンプ(かまぼこ型の盛り上がり)
10〜15cmぐらいの高さだが、夜中に気づかずに突っ込むとものすごい衝撃を食らう

イザという時はカーナビ機能も使えるオフライン地図アプリ

マレーシアに来た頃に、MAPS.MEという無料アプリをダウンロードして使い始めました。オフラインの地図なので、wifiや携帯の電波が届かない時でも使えます。

私はマレーシアのSIM(通信量制限のあるもの)を使って普通にGoogleマップなども使えたのですが、それだと通信量が増えてしまうのと、携帯の電波が途絶えた時に困ってしまうからという理由で、オフライン地図を使い始めたものです。

これがとても便利だったんですが、頻繁に使ううちに趣味っぽい使い方もするようになりました。

もちろん街を歩く時に使うのが主なんですが、行った場所にマークをつける習慣がついたんです。

KLは道路が不規則に入り組んだ街なので、一度行ったお気に入りの場所にもう一度行こうとしても迷ってしまうことがあります。方向音痴の私は特に。そんな時にマークをしておくと、すんなりたどり着けます。

そうして、2年半の間に付けたマークが下のとおり。各々のマークをタップして、メモを書き込んでおくこともできます。

 
KL中心部とクランバレー地域のマーク
マークの色は各々変えられるが、私は気にせずほとんど赤のまま使った
またマークはiPadなどとも共有できる
施設やショップ情報もダウンロードできるようになっていて
最近は内容が充実してきているようだ

これをやっているうちにマークがつくことが楽しくなってきて、あるとき20年前にマレーシアにいたときに遊びに行ったリゾートや、過去に日本や海外で行ったことがある場所にも、記憶をたどりながら全てマークをつけてみました。

これがなかなかおもしろくて、時々地図を眺めて自分が制覇したところを見て悦に入ることもしばしば。

私は何故か子供の頃から地図が好きで、いまでも段ボール箱に地図帳や色んなところでもらった観光地図などが溜まっています。そんな性癖のせいかもしれません。

そんなお気に入りアプリなんですが、オンライン地図に比べて制約もあります。

まず行く予定の国や地域の地図を前もってダウンロードしておくという手間が必要です。

それから、施設やレストラン、ショップ名などの詳しさはグーグルマップなどには及びません。また、車、徒歩、自転車などによるナビゲーション機能も付いていて、かなり使えますが、やはり他のオンラインマップよりもどこかぎこちない感じです。

でも、地図好きの私にとっては、全世界の地図(詳細版は各々ダウンロードする必要があります)をポケットに入れて持ち歩くことができるのはとても魅力があるので、今も愛用しています。

そして、この地図はマレーシアで車を運転するときのバックアップ地図としても心強いものでした。マレーシアではだいたいみんなWazeというカーナビアプリを使っていて、これがなかなか優秀です。最新の道路状況も素早く反映されています。

私も車を運転するときは常にWaze様の言うとおりに運転しますが、見知らぬ場所に遠出した時に、ふと「いま電波が繋がらなくなったらどうしよう。。。」と不安になることも。

Wazeはオンラインじゃないと案内してくれないんですね。紙の地図はもうとっくに使わなくなりましたので、車にも積んでいません。

マレーシアの道路は超複雑なので、道路標識だけ見ていても目的地に辿りつけないことは普通にあります。方向音痴の私は特に。

こういう時、このオフライン地図があればカーナビ機能もついているので安心できます。携帯電波がないと位置情報の精度が落ちたり、最新の地図をダウンロードしていないと道を間違えるといった可能性も無くはありませんが。

でも、結局はそんな使い方を迫られたことはほとんどありませんでした。

マレーシアの言語事情が生んだマングリッシュ・ソング

マングリッシュとは、マレーシア英語のこと。MalaysiaとEnglishを合わせた造語です。


マレーシアの民族構成は、
マレー系(少数民族含む)67%、中華系25%、インド系7%

大きくマレー系、中華系、インド系の3民族がいるマレーシアでは、家庭では各々の民族の言葉を使い、学校では公用語であるマレー語、それからマレー語とともに民族間のコミュニケーションに広く使われている英語を学びます。

というわけなので、最低でも、マレー系住民は2つ、中華系・インド系住民は3つの言葉を使うようになります。

もちろん個人によって得手不得手があるので、だれでもペラペラと英語を話せるというわけでもありませんが。

小さいときからこの多言語環境で育っているので、マレーシア人の言語感覚はとても優れていると思います。英語の能力はアジアの中でトップクラスとか。

 

で、この環境で生まれたのがマングリッシュという言葉。

言語感覚が優れていると言っても、普通の人が日常で交わす会話での英語の文法などはかなりいい加減です。

それに、英語で話しているはずなのに、時々マレー語の単語が入ったり、中国語からきた言い回しが入ったり。さらには文法もマレー語と英語が混ざっていることもあります。

マレーシア人が自分たちが話す英語について、こういうテキトーな文法や言語のちゃんぽん状態をやや自嘲気味な意味を込めて呼ぶときにマングリッシュと言っています。

しかし、マングリッシュをあなどってはいけません。しっかりと通じています。彼らの間では。

小さいときから多民族、多言語環境で育ったマレーシア人は、会話の際に文法の正確さなどより、なによりもコミュニケーションをとることを重視してきたので、こういう話し方になってきたんだと思います。

 

こういう背景があるので、マレーシアは英会話を始めたい日本人におすすめだとよく言われます。

たしかに、実質的なコミュニケーションを重視する彼らは、こちらがどれだけ下手な英語で詰まりながら話していても、真剣な顔をして意味を汲み取ろうとしてくれます。

それで、意味がわかってもわからなくても、とりあえず何らかの反応を返してくれます。

きっと彼らも言葉のことでは子供の頃から色々苦労してきたので、そういう思いやりがあるんでしょうね。

 

こんなマングリッシュをわざと強調した歌詞の”Kantoi”という名前の歌があります。

Zee Aviという女性シンガーの曲で、もう10年ぐらい前の歌ですが、マングリッシュの意味がよくわからなくても、ウクレレの素朴な伴奏でなかなかいい感じの曲です。

若い女性が恋人の浮気のウソを見破ったが、結局彼女もその男性の友達とデキてしまっていた(?)、、、という、マレーシアの現代の若者を描いた歌です。

Googleで”kantoi”で検索すると一発ででます。字幕つき。iTunesでも歌詞付きで売ってました。