いちばんよく使ったマレー語

合計5年以上マレーシアに住んだけれどもマレー語はさっぱりできません。日常生活のほぼ全てが英語で済んでしまい、必要に迫られないのでほとんど頭に残らないんです。とくにクアラルンプールのような都会にいる場合は。

そんな中で数少ないながら知っているマレー語(というかマレー語の単語)で、いちばんよく使って、しかも役に立ったのが「テー・オー・アイス・コソン」です。テリマカシ(=ありがとう)という言葉より断然多く使いました。

在住者はよく知っている言葉だと思いますが、外で食事をする時に砂糖もミルクも入っていない冷たいお茶を頼む時の呼び名です。

ローカルのレストランに入ると、料理の注文とともに飲み物の注文も必要になります。「ティー・プリーズ」とかテキトーに言ってしまうと、こってりミルク(練乳だったりする)が入った甘いあまいあま〜いお茶が出て来ます。

ご飯食べながらこういう甘いのを飲む感覚は私には断じてわからないので、日本なら冷たいウーロン茶をお願いするようなつもりで使うのがこの「テー・オー・アイス・コソン」です。


テー・オー・アイス・コソン
これは中華系の店だったので、ウーロン茶みたいな味のが出て来た。
マレー系の店だと紅茶系の味のが出て来る。
インド系でもきっと同じじゃないかな。
でも、どんなお茶を使っているのかは私は気にしたことはない。
甘くないことがとにかく重要なので。
ちなみに、日本食屋で冷たいグリーンティー(たぶん抹茶の粉を使ったやつ)を
出してくれる店がある。もちろん甘くない。これがけっこうおいしい。

テー(teh):お茶

オー(O):ミルク無しの意味

アイス(ais):氷入り

コソン(kosong):砂糖なしの意味(kosongは、空っぽとかゼロの意味)

日本語のカタカナ発音ではっきりくっきりと言えば、ほぼ間違いなく通じます。私の経験ではこれを英語で言おうとするとけっこう混乱してしまうので、覚えておいて損のないマレー語の筆頭(笑)だと思います。

 

もちろん多少の応用も効きます。

マレーシアでは単にお茶といった場合、ミルクが入って、あったかくて、甘くしたもの、を出すのが標準のようです。つまり、単に「テー」といえば自動的にこの標準のものが出てきます。

「テー・オー・アイス・コソン」はこの標準形に真っ向から異を唱えるものです。好みのものを注文する場合は、ここから単語を取り去ったり入れ替えたりするといいでしょう。

例えば、「アイス」という単語を取り去って「テー・オー・コソン」と言うと、ミルクも砂糖も入っていない、ホットのお茶がでてくるはずです。

店員が『このクソ暑いのに本当に熱いお茶でいいのかぁ?あとで文句言って注文取り消したりしないだろうな。。。』と疑念を持った時は「パナス(panas)?」というように聞いてきたりすることも。パナスは「熱い/暑い=hot」のような意味なので、あったかいのでよければ「イエス、テー・オー・コソン・パナス」とでも言っとけばお互い安心できるでしょう。

テーをコピ(kopi)に変えればコーヒーになります。ただし、コピといった場合はローカルの少しどろっとしたコーヒーです。ホットのブラックコーヒーが飲みたければ「コピ・オー・コソン」です。「コピ・コソン」だとホットの甘くないミルク入りコーヒーが出るはず。

ちなみに日本の喫茶店で飲むようなコーヒーは、洋風の店や空港のような外国人が多く来る店でないと見つかりませんが、この場合はカフェ・アメリカーノとメニューに書いてあるケースが多いです。

こういう店では砂糖とミルクは別に置いてあるのが普通なので、いきなり甘いのが出て来るということはまず無いと思います。

ローカルの店や高速道路のサービスエリアなどでは、コピに最初からミルクや練乳を入れてつくり置きしてある場合もあり、コーヒーはブラックでないとダメという私のような人は困ってしまいます。そういうときの最後の手段がネスカフェ。

「コピ・オー・コソンは無い」と言われた時、「ネスカフェ・オー・コソンはある?」と聞いてみます。

でも、インスタントコーヒーとクリームと砂糖を最初から混ぜてある「3 in 1」のネスカフェしかない場合はアウトです。ホテルの部屋に置いてあるコーヒーはだいたいこれです。

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Penan族の作るかごバッグ

Penanはペナン州のPenangではなくgがありません。私はしばらく地名だと思っていましたが、地名ではなくてサラワク州の奥地に住む部族の名前でした。住んでいる場所はブルネイとの国境に近い場所。Miriという街が最寄り(といっても5時間ぐらいかかると言っていたような)だそうです。

Helping Hands PenanというNGO団体があり、このPenan族への支援をしています。Penan族はもともと狩猟採集民族でしたが時代の波に押されて生活は変化。でもなかなかうまく適応できない家族が多く、特に女性は良い職につくことが難しくて厳しい貧困状態でした。

そこで目をつけたのが、この部族の女性が伝統的に受け継いできたかご編みの技術。もとは籐で編んでいたようですが、籐も少なくなっているので、このNGOがカラフルなPVC(ポリ塩化ビニル)の紐を持ってきて、デザインもアドバイスしながら作ったバッグが素晴らしい出来なんです。さすが伝統に裏打ちされているだけあって柄を入れたり複雑な編み方をしながら、実用性もしっかり確保されています。

Helping Hands PenanのFaceBookより

このNGOはこの手工芸品の販売を促進するとともに、これをジャングルから広く世界に持ち出そうとしているとのこと。収益は編み手の収入になるほか、Penan族の生活に必要な施設の導入などにも使われます。とりわけ力を入れているのはPenanの子供たちの教育で、すでに支援を受けて大学を卒業した子供もいるそうです。

Helping Hands Penanは各地で時々かごバッグの販売会を開いているようですが、クアラルンプールではわりと頻繁に開かれています。開催予定はFaceBookのページで知ることができます。今もほとんどこうした臨時の販売会で売ってるみたいですが、最近はバッグの数は少なめながら常時品物を置いている店も出てきました。私が知っている店は、ブキビンタンのFahrenheit88の地上階のお土産物屋さん(名前忘れた)とバングサショッピングセンターのSquareRoomという店。在住者でないとわかりにくいですけど。




ペナン族のかごバッグはこちらのお店で販売中です!

 

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マレーシア人が1リンギット使う時の物価感覚

マレーシアに行くといつも散髪をします。カットしたあと、カミソリで生え際を剃ってくれて15分ぐらい。値段は15リンギット(400円ちょっと、いま為替レートは1リンギット=27.5円ぐらい)。

地元の人が行く店ですが、クアラルンプールでも探せばもっと安いところもあると思います。


23年前にも通っていた床屋。場所は少し移動したようだ。

実はこの床屋、20年ちょっと前にいた時にも通っていた店です。

当時の値段は7リンギット。それが1~2年の間に8リンギット、その後すぐに9リンギットに値上げされてびっくりしたのでよく憶えています。

そうか、20年で7→15リンギットで、約2倍になったんだと思って他の物価も思い出してみました。

ナシチャンプル(ご飯の上に好みの惣菜を自分で乗せる)は当時3リンギットぐらいで食べてました。

たまに欲張っていっぱい乗せて4リンギットぐらいになると、同僚に「豪勢だな~」と言われてました。

今ナシチャンプルは普通に食べて6リンギットぐらいですかね。やはり2倍ぐらいになりました。他の麺類なども同じく2倍ぐらいになったと思います。


ナシチャンプル
(これは中華系なのでエコノミーライス(経済飯)ともいうらしい)
この店は豚肉の惣菜が充実しているので思わず盛り過ぎてしまった
これで8リンギット

当時ヘビースモーカーだったので100円ライターをよく買いましたが、値段は確か1リンギットだったと思います。

100円ライターなのに何で1リンギット(当時1リンギット=30〜40円台)なんだと不思議に思った記憶があります。

まあ気軽に買えるワンコインという値段を付けられてたんですね。当時は1リンギット硬貨がありましたし。さっきたまたまのぞいた雑貨屋でライターの値段を見たら2.5リンギットでした。

もちろん物によって違いますけど、思い出せたものはだいたい2倍前後でした。

***

当時100円ライターの値段を知った時に「マレーシア人が1リンギット使う時の感覚は、日本人が100円使うのと同じぐらいなのかな」と思いました。この感覚はその後3年間暮らして、そんなに外れてなかったように思います。

じゃ、いまはどうなんでしょう。

散髪代15リンギットがふつうのマレーシア人にとって1500円ぐらいの感覚だとすると、ちょっと高すぎかな。でも使い捨てのカミソリ使って剃ってくれるから、そんなに外れてもいないかな。ちなみに日本の1000円カットでは剃りはナシです。

気軽な昼食としてのナシチャンプルが600円だとすると、いま東京でも惣菜を自分で選べる弁当屋さんに行けば、600円で特に不満のないレベルの昼食は食べられた気がするので、同じぐらいの感覚かな。ただし日本の場合は食べる椅子とテーブルがありませんが。

ライターは250円だとしたら高すぎですね。もうワンコインじゃないし生活必需品でもないし、マレーシアでも喫煙者は追い詰められているからこれでもいいんでしょう。(注:ライターはその後1.8リンギットで売ってるのを見ました。これなら普通ですね。)

今のマレーシアの大卒者の初任給が2500リンギットぐらいらしく、これが25万円だとするとちょっと多いけど、めちゃくちゃ離れているわけでもない。

まあ、感覚としては今の一般のマレーシア人が1リンギット(=約27.5円)使うのは、一般の日本人が日本で80円ぐらい使う感覚じゃないかと思います

そうすると80÷27.5 =2.9で、やはりよく言われているように、マレーシアの物価は、だいたい日本の3分の1ということになります。

もちろん、物によってちがいますが、この80円感覚を念頭においておくとマレーシア人が物の値段をどう感じているかが大まかにわかるので便利です。

例えば、日本食レストランで50リンギット(約1300円)の定食を食べる時、一般的なマレーシア人にとっては4000円ぐらいの負担感覚になるはずなので、これを食べているマレーシア人はちょっとお金持ちか、特別なお祝いでもしているのか、という感じです。

***

じゃあ、日本ではこの20年間物価も給料の水準も上がった感覚はない一方で、マレーシアでは物価が2倍(ちゃんと調べたら1.6~1.7倍あたりみたいです)ぐらいになったけど、いまマレーシア人は20年前と同じかそれ以上にしっかりと生活しているというのは、何を意味するのか?

きっとマレーシアと日本の経済的な差がそれだけ縮まったということなんでしょうね。

巷で高価なiPhone Xを見る回数はマレーシアの方が多いし、車で通勤している人もいっぱいいるし、よく海外旅行にも行ってるし。。。

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