神社のこと(5)ー 拳銃の弾

古銭を拾った話を書きましたが、拳銃の弾らしきものを拾ったことがありました。確か滑り台の下にある砂場周辺だったように思います。

たぶん、まだ3、4歳の頃。頭が丸くて、黄銅色というのかやや赤みがかった金属です。弾といっても薬莢はついてなかったので、当時のあいまいな知識でも大丈夫だろうと思っていました。

しかし家に持って帰って母親に見せると、危ないからすぐに捨ててきて!と言われて、あわてて空き地まで行って投げ捨てました。

薬莢がないから大丈夫だとは思いつつ、確信があるわけでもなく、ひょっとすると大砲の弾のように中に炸薬が詰まっているのかもしれないと思ったからです。

その弾には全く傷がついておらず、とても綺麗で新しかったと記憶しています。だから発射して何かに当たったというわけではなく、空に向けて撃ったものが、たまたまあの場所に落ちてきたのかもしれません。

何でそんなものが落ちてるんだと思いましたが、まだ昭和40年頃、ややこしい人もいっぱいいたんでしょうね。


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神社のこと(4)ー 古銭

1200年もの歴史がある神社だから、古銭が落ちていてもおかしくありません。子供の目は地面に近いし、視力もいいし、なにより大人が行かないようなところに行って直接地面を触ったりするから、何度か古銭を拾ったことがありました。

それでも子供の頃からずっとこの神社で遊んでいて、拾ったことは4〜5回しか記憶がないから、やはり珍しいことは確か。

拾ったのは賽銭箱のまわりというわけではなく、大抵は木の根が張っている場所だったような気がします。

人が通りにくい場所だし、落ち葉などを掃除しても木の根があるから土がなかなか剥がされないので、埋まったままになっていたんでしょう。そこを子供だから足で蹴ったり、何か虫でも追いかけたりしているうちに見つけたんだと思います。あまりに珍しいことだから、わざわざ古銭を探し回ったというほどの記憶はありません。

見つけたのは、大正前後のコインと、穴あき銭をたしか2度ほど見つけたような気がします。

子供の頃唯一名前を知っていた穴あき銭は寛永通宝でしたが、拾ったものがその寛永通宝でなかったのは確か。何度か名前を聞いたことがある寛永通宝ではなかったので、少し残念に思った記憶があるからです。

でも、「和」の字が入っていたような記憶が。。。和同開珎なら最古級で、いま調べると高値で取引されているようですね。当時インターネットもないから調べる手段も少なかったけれど、なんとか親か兄弟に調べてもらった結果は、全然珍しいものではなかったと判明してさらにがっかりしたことを覚えています。

ただし! その一方で、調べてもらって交わした会話の記憶に「「和同開ほう」だったらよかったのにね。これは「和同開ちん」だからきっとめずらしくないやつだね」というふうな、「よく似てるけど惜しかった」感の記憶もあるんです。

今調べると、「和同開ほう」も「和同開ちん」も同じ「和同開珎」じゃないですか! 読み方に論争があるということのようです。

「珎」の字をまさか「ほう」と読むとは思えず、「和同開ほう」はきっと「和同開宝」と書いてあるのだと今の今まで思っていました。

まあ、今になって都合のいい記憶の書き換えが起こっているのかもしれないけれど、真相はどうだったんだろうととても気になって来ました。1200年の歴史があれば和同開珎が落ちていても不思議じゃないですからね。あの頃は当然のように家に持って帰って貯金箱に入れておきましたが、いつのまにやら貯金箱ごと姿を消してしまいました。

子供でしたが、古銭を拾った時にはやはりどのくらいの価値があるのか、と考えました。でもそれだけではなく、何百年も前の人のことを想像したのも確かです。覚えているのは、ちょんまげを結って着物を着た人が、いま自分がいる木立の陰で、誰かに会ってる時にお金を落としたシーンを思い浮かべたことがあること。

長い間変わらない神社は、タイムトリップをさせる場所でもありますね。

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神社のこと(3)ー 自転車

思い返して見ると、よくこんなことをやっていたなと思います。それを許してくれていた神社には感謝するしかありません。

自転車に乗り始めたのは4、5歳ぐらいですが、当然のごとくこの神社で練習をさせてもらいました。最初は自転車を押して木の橋を渡るのが大変でしたが、体が大きくなるにつれ苦もなくなったように記憶してます。

車が来ないので、補助輪外しの練習をするにはもってこいの場所でした。しかも、この神社は本殿と拝殿の間が塀でつながっていて、その周囲を自転車で走ることができます。

補助輪が外れると、当然のように近所の子供たち数台でここを周回するレースが始まりました。コースの途中には木の根が出たところがあり、それを使って思いっきりジャンプをしてみたり、急ブレーキをかけて後輪をすべらしてターンしてみたり。

このぐらいならまだいいですが、そのうち別の子供の集団が来て、こともあろうかこっちとは逆回りのレースを始めたり。石垣の角を回る場所があって、完全なブラインドコーナーになってるから、衝突事故も頻発してました。

大きな石碑や石でできた柵のあたりでは、狭い空間をどれだけ足をつかずに通過できるかという、今で言うトライアル競技のようなこともしてましたね。当時はもちろんそんなスポーツのことは知りませんでしたが。

自転車といえば、この神社の境内で自分の自転車を強奪?されたことがありました。小学校1、2年生の頃、自転車に乗っていると、たぶん5、6年生ぐらいの上級生が歩いてやってきて自転車を貸せと言います。

見ると大きな透明のビニール袋を持っていて、中には水と大きなフナが一匹入っていました。たぶんどこかの川か池で獲ったのでしょう。これが重くて歩くのが大変だから自転車を貸してくれと。

内気も内気の自分としては、抵抗することなど考えも及ばず、そのまま貸すとどこかへ行ったきり帰ってきませんでした。

その翌日、母親に連れられて交番に行って届けを出しました。おまわりさんに、どんな状況で自転車を持って行かれたのかと聞かれても、恥ずかしくて何も答えられず。今考えてみれば、母親にもフナのことは話しておらず、あとで話すとなんで今頃話すんだと呆れられました。

結局自転車はそのままなくなってしまった、と思っていたら1週間ほどしてから、500mほど離れた別の神社で境内に放置されていた自転車が見つかったと警察から連絡がありました。

この神社も同じぐらい古い由緒のある神社です。まあ、哀れに思った神様が連携して自転車を返してくれたんだと思っています。

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